読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

[外堀から埋める05]観測者という存在

f:id:attracted:20170126151828j:plain

この世界は誰かの実験場である

まず前回の復習です。理論上は高次元の存在は予見できるものの、上の次元の存在は下からは知覚することができない。たとえば、私たちが知覚できないベクトルにたった1mm移動するだけで、そこはまったく知らないパラレルワールドである、ということも否定できない。

そして今回は、その知覚できない次元、あるいはこの三次元宇宙のどこかから、私たちを観測している存在があるのではないか、という論についてです。

このへんからグッと怪しくなってきますね。誤解なきようにお断りしておくと、僕はここで「我々の世界の一部始終は、高次元の存在により観測されていたのだ!」「なんだってー!!!」というつもりはありません。やはり感覚的に納得しがたい、というのが本心です。

しかし、私たちがただ感覚的に「あり得ない」と切り捨てることを、物理学の知識を持った学者たちが、大真面目に議論していること。そしてそんな学者たちですら、「否定するに足る根拠」を示せずにいることは、覚えておくべきでしょう。

僕などが学校授業の知識程度で、「そんなのはあり得ない!」と断じてしまうのは、日々研究をする学者への冒涜であり、傲慢な考えなのではないかなと思うのです。

私たちの世界は、動物園だった!?

「動物園仮説」というものがあります。いきなりキャッチーな名前ですが、僕が考えたわけではありません。れっきとした学説です。

まず前提として「宇宙空間、あるいは高次元に知的生命が存在するなら、なぜ我々の前に姿をみせないのか」という命題があります。ノーベル賞受賞の物理学者エンリコ・フェルミが提唱したことからこれを「フェルミパラドックス」と呼びます。

しかし、そもそも宇宙人が地球に来たとしても、初来日のビートルズのように法被を来て宇宙船から降り立ち「どうも! 宇宙人です!」とはならないでしょう。

事実、

  • すでに来ていて、政府により存在が秘匿されている
  • 地球生命に擬態している
  • 地球人には認識できない生命形態である

など、さまざまな考察がなされています。そしてそんな仮説の一つに、「動物園仮説」があるのです。

読んで字のごとく、動物園のように距離を置いて観測する。私たちの地球は、その対象となっている、という説です。

たとえばケニアのサバンナで、動物保護区に指定されている地域。なかの動物たちは、それが自らの意志であることを疑いもせず、保護区のなかで生命活動を続けています。ときに自然災害で、個体数を減らす種もあるかもしれません。しかし人間はなるべくそこに手を加えず、距離を置いてあるがままの姿を観測し続けるのです。

文明の進んだ宇宙・高次元存在は、地球生命が発展する様子をただ記録しながら観察しているのです。

突飛な説とも思えますが、そもそも宇宙が地球に対してあまりに都合良くでき過ぎていることを思えば、あながち絵空事ではないかもしれません。

ちなみにこの説を発表したのは、ハーバード大学天文学者ジョン・ボールです。

私たちの世界はバーチャル空間だった!?

2016年がVR元年などといわれていましたが、そもそもこの世界すべてがコンピュータシミュレーションの内部だという「シミュレーション仮説」というものもあります。

要するに「マトリックス」の世界です。現代人にとっては、納得できないにしても理解はしやすい説だと思います。

そしてそんな荒唐無稽とも思える論が、科学者たちに大真面目に研究されているのです。

この論を提唱したのはケンブリッジ大学の教授である哲学者ニック・ボストロム。

  • 先進的文明(あるいは未来人?)によりコンピュータ・シミュレーションが構築された
  • 現在、自由意志により生きていると信じている我々は、コンピュータ・シミュレーションのなかの存在である
  • シミュレーションであることは知覚できない

という仮説です。

もちろん、そんな話を聞いて「ほぉー、そうなのか!」といきなり納得する人はいないことでしょう。しかしボストロム教授に続く多くの学者がこの説を支持します。

とりわけ「宇宙のあらゆる現象を数式で表せる」という物理学の存在が、逆にこの説を後押ししてしまうのです。ボールの転がる速度から、惑星の公転まで、すべてが数式で表せること、それはつまり、数式でシミュレーションできることを意味しているのですから。

さらにさまざまな立場からの発信も、この説の定着を後押しします。

アメリカの投資銀行であるメリルリンチは2016年、顧客向けの経済予測レポートにて「我々がバーチャルワールドに住んでいる可能性は20~50%」と発信しました。

Paypal設立、テスラモーターズ会長兼CEO、宇宙事業投資などで知られるイーロン・マスクも「我々の世界が自然なものである可能性はほとんどない」と言い続けています。

有名人が言うのだから本当なんだ、というわけではありませんが、少なくとも名前を出して発言するからには、自分なりに根拠があるはず。その重みは軽視することはできないのではないと思います。

 

次回は、この流れを受けて科学者たちの宗教観について考えてみます。