はじめに
まずお詫びしておきます。本日のお話は自己の本質と拡大の前提となる、やや哲学的な内容となります。ぶっちゃけて言うとつまらないです。しかし、後付けの価値観の手放し方の前提となる話でもあります。流し読みでも構いませんので、さらっと見ていただけると幸いです。
レッテルによる分類
さて人間が生存確率を上げる為に前例のデータを集め、分類する。それが後付けの価値観のひとつでした。もちろん、直接的に人の生き死にに関わることだけではありません。あらゆる事象を分類し、過去のデータに当てはめて理解しようとする。それが人間という社会性のある生き物の特徴です。
たとえば小学校の担任の先生を思い出してみてください。小学生というクラスの中にたった一人だけ存在する大人。その判断、言葉は絶対的であり、自分の人生に多大な影響を及ぼし得る存在だったかもしれません。
しかし、自分が当時の先生と同じ年齢になってみると、大人という存在が決して絶対的でないことに気づくことでしょう。先生だって悩み、葛藤し、煩悩を持っています。なんなら恋人の前では赤ちゃん言葉かもしれません。
しかし私たちは「先生」という分類をすることで、その別の側面を見ないようにしていたのです。会社の上司や同僚、家族、あるいは男女という性差さえ同様です。
あるいはこんな例はどうでしょう?
ウスターソースを醤油差しに入れて、ついでに「醤油」と書いたラベルを貼っておきましょう。さあ、今夜はトンカツです。しかし冷蔵庫にソースが見当たらない。あなたは面倒だけど、コンビニまでソースを買いに出かけます。目の前のテーブルの上に、(醤油差しに入った)ソースが置いてあるにも関わらず。
醤油差しには醤油が入っているという価値観が、あなたに不要な労働を強いるのです。
では、どうすれば良いか? 毎回目の前のすべてを疑えというわけではありません。醤油でトンカツを食べろというわけでもありません。
観測位置による認識の変化
また違う例で恐縮ですが、工事現場の三角コーンを思い浮かべてください。
三角コーンというくらいだから、三角ですね。正式にはロードコーンというようです。初めて知りました。とにかく三角なわけです。
しかし、真上から見たらどうでしょう。上部は円錐形、底部は四角ですから、丸と四角の組み合わせです。逆に裏から見れば四角(あるいは穴状になった上部の丸)になると思われます。
つまり、観測する自分の位置が変われば、対象の認識が変わるのです。
先ほどの先生の例も同じですね。自分が生徒、子供から大人に変わる。すると、先生の見え方も変わるのです。
多角的観測のための自己の拡大
では本題である後付けの価値観に当てはめて考えて見ましょう。
「大人は会社に行くものだ」「労働の対価として賃金を得るべきだ」「男はこうあるべきだ」「女性はこうあるべきだ」……
変化を望む時にその妨げとなるそのような価値観。それを外す為には、まず自分の観測位置を見直すことが効果的です。
その位置とはどこか。今、社会という枠組みの中で見ているから、ならば社会に捉われなければ良いのか。そうではありません。社会の枠に囚われないという発想自体も、すでに後付けの価値観によって作られているのですから。
ならばどこに移動すれば良いのか? 実は移動する必要なんてありません。今の場所のままで良いのです。
三角コーンの話。横から見ると三角だったけれど、高い場所に移動すれば丸に見える。しかしこれは三角が丸に変わっただけで、一元的見え方というのは変わっていません。移動した先の見え方が今度は新たな価値観となってあなたを縛り付けるだけです。
だから、あなたは今の場所のまま拡大すれば良いのです。
拡大した状態のあなたは、複数の可能性を同時に見ることができます。従来、常識的に否定されている可能性も含めてです。
この自己の拡大こそ、物事を多角的に捉える数少ない方法なのです。はい、哲学ですね。難しいし、つまらないです。でも、知ることが必要な部分でもあります。
それでは「自己の拡大」のためには、何をすれば良いのか?
本を読み、多くの知識を取り入れる?
それはまったく正反対です!
知識を吸収して拡大するのは、あなた自身ではなく、あなたの後付けの価値観です。その価値観を手放すために自己を拡大するのですから、それでは本末転倒です。
もちろん知識を得ることは必要です。しかし、知識はあなたの後付けの価値観のエサでもあります。あなたは得た知識を正当に利用し、自ら体験することでその価値観を手放していかなくてはならないのです。
非常にややこしい! でも大丈夫、方法はちゃんとあります。今日はつまらない哲学的な話に終始してしまいましたが、次回は、この自己の拡大の方法を探っていきます。
もうしばらくおつきあいください。
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