「引き寄せの法則」とは?
さて、近年何かと話題になる「引き寄せの法則」。耳にしたことがある方も多いとは思いますが、ここで簡単におさらいしてみます。
「引き寄せの法則」をざっくりまとめると、
「宇宙にある絶対不変の法則。人が望んだこと、もの、事象などを自らの経験に引き寄せる。それ自体に意志はなく、良いことも悪いことも平等に引き寄せる」
というものです。
引力のように、あるいは磁力のように。
人は望んだものを引き寄せることができるのです。
はい、素晴らしいですね。
「引き寄せの法則」に対する疑問
もちろん、突然「宇宙の法則」なんていわれても面食らいますね。怪しさマックスですね。それはおいおい考えていくとして、もう少しダイレクトな疑問についてみてみましょう。
それはつまり現状とのギャップです。
「望んだことを引き寄せる」と言いますが、「自分の人生100点満点!」という人がどれだけいるでしょうか。むしろ「引き寄せ」に救いを求めるくらいですから、どちらかというと現状に不満のある方が多いことでしょう。
「こんなこと望んでいない」という現実が目の前にある。それが「引き寄せ」の否定につながるのです。
多少の困難であれば「試練だ」と受け止めることができるかもしれません。いくつかの本には「神は乗り越えられない試練を与えない」という言葉もみられます。
しかし、たとえば困難な病に冒された人に。不慮の事故で親しい人を亡くした人に。「それが神の試練だ」「自らが望んだことだ」なんてどうして言うことができるでしょう!
こういった疑問に対して
- 「『引き寄せの法則』は、否定肯定を考慮しない」
- 「現状の心の状態を引き寄せる」
という解答が示されます。
たとえば「病気になりたくない!」と強く願う場合、否定肯定のない「引き寄せの法則」は願いの主文である「病気」にだけフォーカスされてしまい、結果その現象を引き寄せてしまう。
あるいは「お金が欲しい」と願うなら、「お金が欲しいということは、現状はお金がない(=不足)ということ」として、「不足」の状態の継続を引き寄せてしまう。
非常に面倒な話ですが、相手は法則ですから文句を言っても仕方がありません。重力に対して「重いわ!」って文句言う人はいませんよね。
「引き寄せの法則」の方法論
というわけで「引き寄せの法則」は、ただ願うだけではダメ。少し視点を変えた方法が必要なようです。
それは
「すでに願いが叶った心の状態になる」
という方法。
健康を望むなら「毎日健康で活き活き暮らす自分」を
経済的成功を望むなら「すでに大金を得て、優雅に暮らしている自分」を
良縁を望むなら「理想のパートナーと出会って幸せに過ごす自分」を。
すでに叶ったつもりになって演じるように生きるのです。
心豊かに、明るく、ポジティブに、安心して生きていると、
やがて心の状態に合わせて、現実の方が変わってくるというわけです。
それでもやっぱり残る疑問
なるほどそうか! すごいな「引き寄せの法則」!
とは、ならないですよね。なっちゃった方は、少し疑ったほうがいいですよ。変な詐欺とか引っかかっちゃいますよ。
ここまでニュートラルな立場で見てきましたが、やはり21世紀に生きる私たちとしては、「意志で現実を引き寄せる」という非科学的な話が、すんなりとは理解できないわけです。
なぜ、そんなことが起きるのか。
その理屈が腑に落ちない限りは、納得することはできないわけです。
しかし。
重力がなぜ働くのか。
これを明確に理解し、説明できる方はどれだけいるでしょうか?
光の速度は不変であること。
その理由を知る方はどれだけいるでしょうか?
理屈はわからない、けれども信じている。
同様に、「引き寄せの法則」を明確な根拠で否定できる方も、少ないことでしょう。
信じるに足る知識。否定するに足る知識。
これからそれらを少しずつ検証しながら、本質に近づいていければと思います。