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[外堀から埋める12]ざっくりと超ひも理論

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科学者は常識にとらわれない

さて、前回の話のように、近代科学の両輪とされる「量子論」と「相対性理論」ですが、一部においては両者に矛盾が見られました。どちらかが間違っているのか、それとも足りない部分があるのか。そのような視点で、新たな理論が模索されます。

トライ&エラーで間違った部分を調整しながら進化するのは、科学の歴史そのものです。そして科学の世界では「常識的にありえない」という考えはありません。その常識を作っているのが、彼ら科学者なのですから。

考えてみてください。

2世紀にクラウディオス・プトレマイオスにより提唱された「天動説」は、16世紀のコペルニクスガリレオ・ガリレイの時代まで常識でした。1400年間常識だと思われていたこと。生まれてから死ぬまで天動説が常識であった人が、30世代近くもあったわけです。体感的にも天動説の方が信じやすいでしょう。何しろ、現在立っているこの地面は、動いてなんていないのですから。きっと生涯を天動説の研究にだけ費やした科学者もいることでしょう。

それが突然、「実は動いているのは地球でした!」となりました。果たして私たちがその場にいて、素直に受け入れられたでしょうか。

それができるのが、科学者という人たちなのです。自分の感覚や世間一般の常識、過去の事例や大勢の意見ではなく、ただ観測結果から結論を導く。一見してありえなそうなことでも、実験結果や数式が表す現状を解釈すると、そういう理論となることが否定できない、となればそれは大真面目に議論する。

科学者はリアリストの最前線に立つあまり、一周まわってロマンチストなのかもしれませんね。

だから「宇宙ホログラム説」や「シミュレーション仮説」だって、否定材料がないかぎり立派な学説なのです。

ひも理論の誕生

さて、話が逸れてしまいましたが、科学者は考えます。非常に完成された理論である「量子論」と「相対性理論」が矛盾する。ならば、どこをいじればその矛盾を解消できるのか。

そしてひとつの仮説が持ち上がります。

それはいままで「点」だと考えられていた(観測下の)量子が、「線」なのではないか。0次元の点でなく、1次元の線ならば、いくつかの矛盾は解消できるのではないか。

そうして生まれたのが「ひも理論」です。

この理論によると、小さすぎて点に見えていた量子をドアップにしてみると、実は線(=ひも)である。そしてその線が振動しているから、それぞれの振動に合わせて状態が確定する、ということになります。

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そしてその線が振動することで、性質を確定するのですが、この際の動き方の共通性から線は、「ただの髪の毛のように一本のひも(開いたひも)」と「輪ゴムのように閉じたひも」の2種類があるとの仮説が立てられました。

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なんとも唐突な理論ですが、これに当てはめてみると従来の矛盾が次々と解消していったのです。

ひも理論を越える「超ひも理論

このように画期的な「ひも理論」ですが、やがていくつかの疑問も湧き上がります。それは「ひもの振動だけでこの世のすべてが表現できない」ということでした。

どうやら量子はひもでできていて、それが振動しているのは確かなようだ。しかし、この3次元世界の縦横上下の方向だけで、この世のすべての物質まで差別化できない

そこで科学者は、常識に囚われずに考えます。縦横上下だけでなく、ほかの方向にも振動しているのではないか。その方向が、私たちに知覚できていないだけではないか。

こうして量子論のときにも登場した多次元の概念が戻ってきました。

参考:[外堀から埋める04]次元論と感覚について - 急がば回る引き寄せの法則

振動はしているけど、その方向が見えないだけ。だから、仮定した別次元方向への振動を計算に入れれば、この世のすべての物質になりうる。そうして導き出されたこの宇宙は「10次元空間+1次元時間」の11次元となります。

さらなる謎を解明する超ひも理論の発展

素粒子を扱う科学にはもうひとつ大きな謎がありました。それは「力の強さ」の問題。素粒子の世界には「電磁気力」「素粒子同士をくっつける力」「重力」という3つの力があるのですが、ほかの2つに比べて「重力」の弱さが計算と合いません。

理論はわかっているのに、計算結果だけが合わない。まるで、どこか別のところに力が逃げているかのように。

そこで、この世界は3次元の膜に覆われているという「ブレーン理論」が生まれます。

3次元の膜というのも想像が難しいですね。東京ドームのように2次元(=平面)の布が3次元空間を覆っているのではありません。膜自体が3次元で、それがさらに高次元の世界を覆っているのです。

そして先程の「髪の毛」の方の「開いたひも」は、その膜にくっついているため3次元内しか認識できず、行動もできない。「輪ゴム」の方の「閉じたひも」は、くっついていないから、高次元へ行けるというのです。

この「輪ゴム型閉じたひも」が重力(の元である重力子)であり、それ以外は全部「髪の毛型開いたひも」である。だから重力だけが高次元の影響を受けるのである。

わかりやすく1つ次元を落としたモデル↓

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つまり重力が弱いのは、他の次元に力が分散しているから。つまりこの理論に則る限り、逆説的に多次元の存在は確定しているのです。

非常に難しいところですので、あまり突き詰めて理解しなくても良いと思います。僕も理解してません。ただ、量子はひもの振動である、重力が弱いのは多次元へ分散しているから、理論上の世界の構成は11次元というあたりを覚えておくと良いのではないかとも思います。

次回からは物理学が予想した宇宙の始まりについて。少しずつ核心に迫ります(予定)。