[外堀から埋める13]物理学が予想した宇宙の起源

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ビッグバン説の証拠

量子論」、「相対性理論」、そして「超弦理論」の進歩が、少しずつ宇宙の姿を私たちに教えてくれました。そして議論は宇宙の誕生にまで遡ります。

約138億年前、そこには何もなかった。

何もない空間があるのではなく、空間さえもなかった。そして空間がないから、時間さえも流れていなかった。完全なる無。想像することもできませんが。

ある時突然、その無のなかに特異点と呼ばれる無限の密度を持つ点が生まれた。無限の密度。そこはあらゆる秩序のない世界。未来と過去の区別さえない混沌の世界。

その特異点の誕生から1秒も経たないうちに、宇宙は爆発的に広がります。これがいわゆるビッグバンです。

遠方の銀河が遠ざかっているという観測的事実。そして光の性質と空間の歪みを明らかにした相対性理論。その両者を照らし合わせると、宇宙は現在も膨張を続けているという結果になります。

広がる行く先、つまり「宇宙の外側」には何があるのか。それはわかっていません。しかし宇宙が大爆発により誕生したというのは、確実とみなされています。それは証拠が見つかっているからです。

電磁波の波長

目に見える光と、携帯電話やTVの電波。これらは実は同じものです。さらに言えばレントゲン写真のX線、センサーなどにも使われる赤外線、お肌の大敵・紫外線、電子レンジのマイクロ波。これも皆おなじ。すべて電磁波という波の一種です。

では同じ電磁波なのになぜ性質が異なるかというと、それは波の波長が異なるから。凪いだ日の穏やかな海と、台風に荒れる海の波の違いのようなものです。

たとえば、こんな感じ↓

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そして、波長(波のギザギザの緩やかさ)が異なることで性質が変わるということは、つまり、電磁を無理やり引き伸ばすことができれば、性質を変えることができるということになります。

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しかし「現象」である「波」を引っ張るというのは不可能な気がします。そもそも触れることができないのですから。現実的に「電磁波を引っ張る」のは、電磁波が存在する空間そのものを拡大するくらいしかなさそうです。しかしそんなことは、できるはずもありません。普通なら。

そこでビッグバンです。

電磁波が引き伸ばされていることがわかれば、それは逆説的に「宇宙が膨張している」ことの証拠になるのです。

偶然キャッチした宇宙誕生の証拠

1964年。電話の発明で知られるグラハム・ベルが設立したベル研究所の研究者であるペンジアスとウィルソンの二人が、アンテナの雑音を減らす研究をしていました。

ペン「雑音が入ってくるな」

ウィル「なら、こっちの方向に向けたらどうだろう?」

ペン「ダメだ。まだ雑音が入る」

ウィル「なら、こっちは?」

ペン「ダメだ。雑音だ」

ウィル「もういっそ、こっち向けちゃう?」

ペン「いやいや、それはさすがに……あダメだ。また雑音だ」

ウィル「雑音パネー! あ、こっちは?」

ペン「ダメ。また雑音……ってあれ?」

ウィル「どうしたの?」

ペン「どの方向からの雑音も、周波数おなじっぽい」

ウィル「あじで?」

ペン「あじで」

という感じで、別の研究中に偶然にも、宇宙のどの方向からも同じ周波数の電波が届くことを発見したのです。

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ビッグバンは巨大な爆発です。当然、光を発します。そして宇宙空間が広がるにつれて、その光(可視光線)の波長はどんどん伸ばされます。その後、宇宙のなかに地球が生まれます。だから原初のビッグバンで可視光線だった、今は伸ばされてしまった電波が全方向から地球に降り注ぐのです。

偶然キャッチされた、宇宙からの電波=宇宙背景放射。これは宇宙がビッグバンにより誕生した証拠だとされています。

 

そして宇宙から絶えず電波が降り注いでいること。

それが意味することが、少しずつ明らかになり始めています。

 

次回からは少し角度を変えて、哲学・心理学的な話になります。